歯周病になると歯茎に炎症が生じるだけではなく、歯を支えている歯槽骨を溶かしてしまうため、インプラント治療をすることができません。
歯の治療において注目されているエムドゲインは、溶けた歯槽骨の再生を期待することができるものです。
ここではインプラント治療を可能にする、エムドゲインによる歯槽骨の再生治療についてご紹介します。
エムドゲインの特徴と治療のメリットとは?
エムドゲインは、スウェーデンのビオラ社が開発した歯周組織再生誘導材料のことを指しており、治療に使用することで歯槽骨の再生が期待できます。
歯が生えてくるためにはタンパク質の働きが必要不可欠ですが、この大切な働きを担っているタンパク質の一種の「エナメルタンパク」がエムドゲインの主成分です。
顎の骨が弱っている状態ではインプラントができないことが多いのですが、エムドゲインを利用することで、インプラント治療を可能にすることができると注目されているのです。
治療可能な歯槽骨の状態とは?
エムドゲインを使った治療は、歯槽骨の状態によっては治療が難しい場合があります。
エムドゲインの治療が有効である歯槽骨の特徴は、まず垂直に骨が溶けていることと周囲に骨の壁が残っていることです。
このような状態であれば、エムドゲインで歯槽骨の再生治療を行うことができます。
しかし歯槽骨が横に溶けている場合には、エムドゲインでの治療は難しいと考えられています。
もしこの治療法を試してみたい場合は、まずはご自身の歯槽骨の状態を診断してもらってください。
エムドゲインを使った治療の手順
エムドゲインによる治療は歯周外科手術が必要となるので、まずは歯周ポケットの深さを測るなどのさまざまな検査を行い、エムドゲインが使用できるか確認をします。
使用が可能であれば麻酔をして歯肉を切開して剥離した後、歯根の表面の汚れを丁寧に落としていきます。
その後エムドゲインを塗布して歯肉を縫合したら手術完了です。手術は約1時間程度で済むので、その日のうちに帰宅することができます。
手術後は抜糸をするまでの間は細菌の感染を防ぐために消毒薬で口の中の洗浄を行います。
インプラント治療を希望している方の場合、この治療方法で歯槽骨が再生できれば希望に沿った治療を行うことが可能となるのです。
エムドゲインがもたらしたインプラントの新たな可能性
大きな可能性を秘めた歯周組織再生誘導材料のエムドゲインは、世界の様々な国で使用されています。
歯槽骨は歯を支える大切なものですが、今までは再生は難しいと考えられていました。
しかしエムドゲインを使用する治療によって、歯の土台となる歯槽骨の再生が見込めるようになり、インプラント治療も可能となります。
インプラントをしたいけれど、歯槽骨が弱っていてできないと医師に言われた方は、エムドゲインを利用し、歯槽骨そのものを再生させる治療法も検討してみてはいかがでしょうか。